40代からの投資記録・メルカリの売り上げ5万円で株を買ってみた

40代からの投資記録・メルカリの売り上げ5万円で株を買ってみた

40代からの投資記録・メルカリの売り上げ5万円で株を買ったらまさかの事態に

40代を迎え、将来のお金のことを真剣に考える時間が増えた方も多いのではないでしょうか。

「iDeCoやNISAは始めたけれど、もう少し本格的な投資も経験してみたい…」そんな風に感じていませんか。

今回は、多くの方が利用するフリマアプリのメルカリで得た売上金、わずか5万円というリアルな資金を元手に、実際に株式投資を始めてみました。

数ある候補の中から、なぜオーバルという会社を選んだのか、その具体的な購入理由まで、私の実体験を交えながら詳しく解説していきます。

※この記事は売買を推奨するものではありません。
投資の判断は自己責任でお願いします。

記事のポイント
  • 5万円から始められる高配当株の探し方
  • 割安株の具体的な候補5銘柄の特徴
  • オーバルという企業の強みと将来性
  • 40代の投資初心者が銘柄を選ぶ視点

5万円から始める40代の投資戦略

  • 今回の投資ルールと銘柄候補
  • 候補①:社会を支えるソラスト
  • 候補②:技術力が強みのオーバル
  • 候補③:M&Aで成長VTホールディングス
  • 候補④:堅実経営の東邦アセチレン
  • 候補⑤:生活必需品の塩水港精糖

今回の投資ルールと銘柄候補

まずは、今回の株式投資における銘柄選びのルールについてお話しします。

資金が5万円ということもあり、あまり条件を厳しくすると候補が見つからなくなってしまうため、以下の3つのシンプルな条件を設定しました。

今回の投資ルール

  1. 投資金額の上限は5万円
    メルカリの売上金という、いわば「あぶく銭」の範囲で挑戦。
  2. PBR1倍以下
    企業の資産価値に対して株価が割安かどうかを示す指標。
  3. 配当利回り3%以上
    株を持っているだけでもらえるお小遣い(配当金)の割合。

これまで株価のチャートだけを基準に銘柄を選ぶことはありませんでした。

5万円という金額は株式投資の世界では少額なので、良い銘柄は見つからないだろうと思っていたのです。

しかし、実際に探してみると、意外にも「お、これは良いな」と思える魅力的な企業が多く、自分自身にとって大きな発見がありました。

この条件でスクリーニングし、最終的に候補として残ったのが以下の5社です。

証券コード 企業名 業種 投資金額の目安
6197 ソラスト サービス業 約48,000円
7727 オーバル 精密機器 約49,000円
7593 VTホールディングス 小売業 約48,000円
4093 東邦アセチレン 化学 約16,000円
2112 塩水港精糖 食料品 約21,000円

※投資金額の目安は2024年8月時点の株価を参考に100株購入した場合の概算です。実際の株価は変動します。

候補①:社会を支えるソラスト

ソラスト
株探

皆さんも病院に行った際に、受付や会計業務を行っているスタッフの方を見かけることがあるでしょう。

ソラストは、そうした「医療事務」を病院から請け負うサービスで大きく成長した会社です。

近年では、その安定した事業基盤を活かして、訪問介護やデイサービスといった「介護事業」、さらには「保育事業」にも積極的に進出しています。

高齢化が加速する日本において、医療と介護は今後ますます重要になる分野であり、まさに社会のインフラを支える企業と言えるでしょう。

投資家としての最大の魅力は、景気の波に左右されにくい安定性です。

医療や介護の需要は、好景気だろうと不景気だろうと常に存在します。

このような安定した収益が見込めるビジネスモデルは、長期的に安心して保有したいと考える投資家にとって非常に心強い存在です。

さらに、配当利回りも良く、2016年から減配していない(非減配)という実績も、株主を大切にする姿勢の表れだと感じました。

候補②:技術力が強みのオーバル

候補②:技術力が強みのオーバル
株探

オーバルは、工場やプラントで使われる「流量計」という機器の専門メーカーです。

流量計とは、水道管を流れる水や、工場のパイプを流れる薬品、ガソリンスタンドの給油機など、液体や気体がどれくらいの量流れているかを正確に測定する機器を指します。

私たちの生活に直接関わる製品ではありませんが、あらゆる製造業の品質管理や安全管理に欠かせない、まさに「縁の下の力持ち」のような存在です。

その高い技術力は国内だけでなく、海外でも高く評価されています。

この会社の強みは、ニッチな分野で圧倒的な技術力とシェアを誇る点にあります。

特定の分野で高い専門性を持つ企業は、他社が簡単に真似できず、安定した収益を上げやすい傾向があるのです。

また、最近注目されている「水素エネルギー」の分野でも、水素ステーション向けの流量計を手掛けており、未来の成長テーマも秘めている点に惹かれました。

候補③:M&Aで成長VTホールディングス

候補③:M&Aで成長VTホールディングス
株探

VTホールディングスは、M&A(企業の買収・合併)を積極的に行うことで成長してきた自動車ディーラーグループです。

「Honda Cars」や「日産プリンス」といった正規ディーラーの運営を軸に、中古車販売やレンタカー事業も手掛けています。

その事業エリアは国内にとどまらず、イギリスや南アフリカなど海外にも広がっており、グローバルに展開している点も特徴です。

この会社の面白さは、巧みなM&A戦略による成長性にあります。

様々な地域のディーラーをグループに加えることで経営を効率化し、規模を拡大し続けてきました。

また、株主への還元意欲が非常に高いことでも知られています。配当利回りは5%を超え、さらに株主優待として新車・中古車の購入時や車検時に使える割引券がもらえるのも、車好きにはたまらない魅力ではないでしょうか。

配当と優待の両方を狙いたい方には、非常に面白い銘柄だと感じます。

候補④:堅実経営の東邦アセチレン

候補④:堅実経営の東邦アセチレン
株探

東邦アセチレンは、鉄の溶接や切断に不可欠な「アセチレンガス」を社名に冠する、産業ガスの専門メーカーです。

その他にも、酸素や窒素など様々な種類のガスを製造し、工場や建設現場に供給しています。

普段意識することはありませんが、ビルや橋、自動車や船といった、私たちの身の回りにあるあらゆる「モノづくり」は、産業ガスなしには成り立ちません。

東邦アセチレンは、日本のモノづくりを根底から支える重要な企業なのです。

産業ガス事業は、顧客との長期契約が基本となるため、収益が非常に安定しています。

また、巨大な設備が必要なため新規参入が難しく、競合が少ないのも強みです。

業界最大手「大陽日酸」のグループ企業であるというバックボーンの強さも、投資家にとっては大きな安心材料と言えます。

ただ、個人的な事情ですが、私のポートフォリオには既に化学セクターの株がいくつかあったため、今回はセクターの分散を考えて購入を見送りました。

候補⑤:生活必需品の塩水港精糖

候補⑤:生活必需品の塩水港精糖
株探

「えんすいこうせいとう」と読むこの会社は、その名の通り「塩」と「砂糖」を主力商品とする食品メーカーです。

スーパーで「パールエース」印の砂糖を見かけたことがある方も多いかもしれません。

砂糖や塩といった基礎調味料だけでなく、最近では健康志向の高まりを受け、腸内環境を整える効果が期待される「オリゴ糖」などの機能性食品にも力を入れています。

砂糖や塩は、まさに生活必需品

景気がどうなろうと需要がなくなることはありません。

そのため業績が非常に安定しており、株価も比較的落ち着いた値動きをする、いわゆるディフェンシブ銘柄の代表格です。

PBRが0.3倍台と、企業の持つ資産価値から見て株価が非常に割安な水準にあるのが最大の魅力でした。

ただ、私の調べた範囲では中期経営計画が公表されておらず、今後の成長戦略や配当政策が少し見えにくい点が懸念となり、今回は候補から外しました。

40代からの投資でオーバルを選んだ訳

40代からの投資でオーバルを選んだ訳
  • 決定打となったオーバルの事業内容
  • 利益を伸ばし続ける好調な業績
  • 株主還元を重視した購入理由
  • 最新決算からまさかの事態に

決定打となったオーバルの事業内容

決定打となったオーバルの事業内容

数ある候補の中から、最終的に私が購入を決めたのはオーバルです。

ここからは、その購入理由を3つのポイントに分けて詳しく解説します。

まず最も魅力的だと感じたのが、その事業内容です。

前述の通り、オーバルは水や石油、薬品などを精密に計測する機器の製造・販売を行っています。

例えば、最新の半導体や医薬品の製造現場を想像してみてください。

数グラム、あるいはそれ以下の単位で混ぜる材料の量を誤ってしまうと、製品の品質や安全性に致命的な影響を及ぼす可能性があります。

このような、わずかな誤差も許されない現場を支えているのが、オーバルの計測機器なのです。

オーバルの技術が活躍する分野

  • 半導体・化学薬品の製造
  • 食品・飲料の生産ライン
  • 自動車・航空宇宙産業
  • 上下水道などの社会インフラ

このように、幅広い産業の土台を支えているという安定感。

そして、正確さが命である計測機器の分野でトップクラスのシェアを持っていることは、他社にはない非常に強力な武器と言えるでしょう。

さらに、将来性という点も見逃せません。

現在、政府は「国土強靭化計画」を推進しており、その中には老朽化した上下水道の整備も含まれています。

オーバルは、この水インフラ向けに電源が不要なスマートメーターを開発しており、災害時でも水道管を流れる水の量を検知できるこの技術は、すでに一部の公共機関で導入が始まっています。

この国家プロジェクトの流れに乗ることができれば、今後の株価上昇も大いに期待できると考えました。

利益を伸ばし続ける好調な業績

次に注目したのが「稼ぐ力」、つまり業績です。オーバルの近年の業績は以下のようになっています。

利益を伸ばし続ける好調な業績 利益を伸ばし続ける好調な業績2

特に注目すべきは2023年以降の利益率です。

2022年までは営業利益率が5%以下だったのが、2023年から10%近い利益率になっています。

これは、コスト削減や高付加価値製品へのシフトなどが進み、会社の「稼ぐ力」そのものが強くなっている証拠です。

実際に、売上高に占める営業利益の割合を示す営業利益率も、年々改善傾向にあるのが分かります。

2025年3月期までの中期経営計画で掲げた目標値もすべて達成するなど、業績面は非常に順調に成長していると判断しました。

財務面もチェック

財務に関しても、借金である有利子負債は減少傾向にあり、企業の体力ともいえる自己資本比率も60%を超えているため、財務面でも安心できる水準と言えるでしょう。

株主還元を重視した購入理由

株主還元を重視した購入理由
オーバルHPより引用

最後の決め手となったのが、株主への利益還元に対する積極的な姿勢です。

オーバルの配当利回りは、私が見た時点で4%を超えていました。

これだけでも十分に魅力的ですが、過去の実績を調べると、10年以上にわたって減配がないという事実が、長期で保有する上での大きな安心材料となりました。

(2021年に一度減配がありますが、これは前年の記念配当がなくなった影響なので、実質的な減配には含んでいません)

そして、何よりも心を動かされたのが、2028年に向けた新たな中期経営計画です。

この中で、同社は驚くべき目標を掲げました。

オーバルの新たな株主還元方針

  • 総還元性向70%以上
    稼いだ利益の7割以上を配当や自社株買いで株主に還元する。
  • DOE 2.7%以上
    企業の純資産に対する配当の割合。
    業績が一時的に悪化しても安定した配当を維持するという強い意志の表れ。

特に「DOE(純資産配当率)」という指標を目標に掲げるのは、「業績の良し悪しに関わらず、安定した配当を出し続けますよ」という、企業から株主への力強いメッセージです。

これからの安定配当、そして増配にも大いに期待できると感じたことが、購入の最後のひと押しとなりました。

最新決算からまさかの事態に

オーバルが2025年8月8日に発表した2026年3月期 第1四半期(2025年4月〜6月)の決算は、絶好調なスタートと言える大変良い内容でした。

難しい数字は抜きにして、ポイントを分かりやすくまとめました。

決算のポイント早わかり 📈

一言で言うと、**「売上も利益も大幅にアップし、ものすごく好調」**という状況です。

項目 今回の実績 (2025年4-6月) 前年の同じ時期との比較 備考
売上高 36.7億円 +11.2% モノがしっかり売れている
営業利益 5.9億円 +180% (2.8倍) 本業でガッチリ儲かっている
経常利益 6.0億円 +190% (2.9倍) 会社全体の利益も絶好調
最終利益 3.5億円 +150% (2.5倍) 株主の取り分も大幅アップ

オーバル決算短信より引用

特に注目したいのは、本業の儲けを示す営業利益が前年の2.8倍にもなっている点です。

これは、単に売上が増えただけでなく、コスト削減や付加価値の高い製品が売れるなど、会社の「稼ぐ力」が格段に向上していることを示しています。

なぜこんなに良かったの? 🤔

決算短信によると、好調の背景には以下の要因があるようです。

  • 大口案件が好調: 前年度から受注していた大きなプロジェクトが順調に進み、売上に大きく貢献しました。

  • 収益性の改善: 売上営業利益率が前年の6.3%から16.1%へと大幅に改善しました。これは、利益率の高い製品が売れたことを意味し、非常にポジティブな内容です。

通期の業績予想(2026年3月までの1年間の見通し)は変更されませんでしたが、第1四半期を終えた時点での進捗率は**39.2%**に達しています。これは例年(5年平均で8.0%)を大きく上回るペースであり、今後の業績の上方修正も期待させる内容です。

また決算発表と同時に、株主にとって非常に嬉しい発表もありました。

大規模な自社株買いの実施

内容:
発行済株式総数の**9.82%**にあたる220万株、総額8億円を上限に、自社の株を買い戻すと発表しました。

意味
会社が「今の株価は割安だ」と考えている証拠であり、1株あたりの価値が上がるため、既存の株主にとっては大きなプラス材料です。

この決算と自社株買いの発表を受けて、8月12日の株式市場では前週末比+80円でストップ高となりました。

私がオーバルの株を購入したのは8月5日。

購入単価は480円

オーバル購入価格

購入前は決算発表を待とうかと思いましたが、メルカリの売上金だし、最悪無くなってもいいかと考え購入を決断。

今後どうなるかわからないですが、ひとまずこの決断をして良かったと思っています。

個別株を初めて一年足らずとはいえ、初めてストップ高を経験しました。

まとめ:今回の40代の投資から得た事

最後に、今回の「メルカリの売上金5万円で株を買う」というチャレンジを通じて得た学びや気づきをまとめます。

  • メルカリの売上金のような少額からでも株式投資は十分に始められる
  • 5万円という予算でもPBR1倍割れ・配当利回り3%以上の銘柄は探せる
  • PBRや配当利回りは割安株を探すための有効な指標の一つになる
  • ソラストは医療と介護という社会インフラを支える安定性が魅力
  • オーバルは流量計というニッチな分野で高い技術力と将来性を持つ
  • VTホールディングスはM&Aによる成長性と高い株主還元が特徴
  • 東邦アセチレンは産業ガスという堅実な事業基盤を持つ
  • 塩水港精糖は生活必需品を手掛ける典型的なディフェンシブ銘柄
  • 銘柄を選ぶ際はポートフォリオ全体のセクターバランスも考慮する
  • オーバルのように景気に左右されにくい事業内容は長期投資に向いている
  • 国土強靭化計画のような国の政策は企業の成長を後押しする可能性がある
  • 売上だけでなく利益率の改善に注目すると企業の稼ぐ力がわかる
  • *有利子負債や自己資本比率で企業の財務健全性を確認することは重要

  • DOE導入目標は企業からの安定配当への強いコミットメントと解釈できる
  • 40代の投資は、自分なりのルールで企業を分析する良い機会になる

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